4日寝込んだぶりの外界は、未知のできごとで溢れかえっていた。
私はそこで、喜んだり、驚いたり、物を避けてみたり、線を踏んでみたり、目で追ってみたり、近付いてみたりした。
自分は背が高かったらいいなと思うこともあるけど、実は低くて良かったなと思ってる。
背が低いと、地面が近いから。
幼児の頃ほどではないけど、地面のディテールがはっきり目に見える。
病み上がりのまっさら状態だったからか、お酒でぼうっとしていたせいなのか、私の心はぶよぶよのゴムみたいだった。
人も自分もそれぞれ別のことを言う。
色んなことを言う。
それはもう、勝手なことばかりを言い合っている。
笑ったり、苦悩したり、そこから全然違う話に飛んだり。
私は真剣に話を聞いている振りをしながら好きな人のことを考えてる時もあった。
私の頭の中は誰にも見えやしないんだってことがその瞬間面白く感じた。
だんだん、自分も含めた人間たちがさとし26歳男性、なおこ27歳女性、とかそういうものから逸脱してゆく感覚に陥った。ふぬふぬの物体からほなほなの声が発せられて、ぬほぬほ絡み合ってるの。て、私どんな境地だよ。
病み上がり飲酒おそろしい。
私は彼らの話をちゃんと理解できてるんだろうか?
さとしくんの「やれやれ、もっとやれ」でつい調子に乗って語気を強めてしまったりもした。
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