2016年7月13日水曜日

望月ゆうさくの公演をみて

先週、大学院の同期である望月ゆうさくのパフォーマンスをみた。
ジャグリングの世界大会で優勝したり、enraとしてカンヌ国際映画祭のオープニングアクトを務めたり、めちゃスゴイっていうのは知ってたんだけど、生で見たら(私にとっての)人間の上限を越えてた。そして、彼が根っからのアーティストだということが伝わってきた。「エンターテインメント」としての面白さが強調されがちで、そこで消費されやすいメディアだと思う。でもゆうさくはそれ以上のことを目指しているのがわかる。彼だけの「表現」で、どこまでも遠くにはばたいてほしいので、この技術と表現力をいかして色んな人と共作したり、作品を展開していってほしい。

私のような「小さな頃から絵を描くのが好き」な人が芸術の道に向かうことはよくある。だけど、彼のようにジャグリングを通してアートを思考するというのは、けっこう新しい視点なんじゃないかな。私から見たら新しいんだけど、彼にとってはとても自然なことなんだろう。技術と表現のバランスがまだ技術に寄っていた頃、毛色の違う先端で、芸術とは何か、表現とは何かを考えて挑戦して、ほんとに頑張っていた。

ジャグリングは物理法則によって身体性や目に見えないエネルギーを可視化する。遠心力とか重力とか、いろんな物理現象が肉体の与えるエネルギーによって変化して、突拍子もない動きを生み出す。人間の「意思」が肉体の運動に変わり、運動が目の前の現象を動かす。その現象をつぶさに観察し、肉体が反応する。運動はスピードを上げていつのまにか意思すら超越する。精神と肉体が一体になってジャグリングの動きを生み出しているんだけど、そのシンクロ率が高過ぎて、目の前で起きていることをうまく処理できなくなる。今までに見たことがないような駒の動きが、物理法則を上回って見える。ゆうさくがやっていることが魔法のように見えてくる。呼吸の音が動きと動きの間の静寂を切り裂く。人が呼吸をしているということを思い出す。ヒモがムチのようにしなり乾いた音を立てる。駒がヒモとの摩擦でシュルシュルと鳴る。ものすごい力が接地面にかかっていることがわかる。駒が変な動きするの。なんで飛んだ駒が、振り回したヒモの上に着地できるのか謎でしかない。エネルギーがすごすぎて圧倒された。

パフォーマーは見た方がいいと思った。みんな、最近のゆうさくは尋常じゃないよ。とくにここ最近、顔つきが違う。なにがあったんだろ?
彼のパフォーマンスを見て、プロフェッショナルてこういうことか!!と思いました。こんなに輝いている生命とか、肉体を目の当たりにできることって、スゴイな、すごい瞬間だなって思う。

ゆうさくを見ていると、希望が差し込む。大学院の時のことも知っているから、尚更、今の表現ができることは彼にとって、とってもとっても嬉しいことなんだろうとわかるし。

この映像は、ゆうさくの競技者として表現者としての凄さや、ジャグリングという行為が生み出すエネルギーや激しさがわかる。

https://youtu.be/TcwG4vjEbqI

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